【書評】『イシューからはじめよ』レビュー|「一生懸命」が、あなたの命(時間)を削る毒になる前に。
「起業して成功する人と、しない人の差は何ですか?」 そう問われたとき、私は迷わず本書『イシューからはじめよ』を差し出します。
世の中には、寝る間を惜しんで働き、誰よりも努力しているのに、結果が出ない起業家が溢れています。
一方で、涼しい顔をして、最小限の手数で最大の結果を出す人もいます。
この差は、「解くべき問題」を正しく見極めているか。 ただそれだけです。
人事労務として、過労で寛解期を逃しそうになる社員を見てきた私だからこそ、言わねばなりません。無益な努力は、あなたの貴重な時間を奪うだけの「浪費」です。
結論:この記事は「読む価値」ある?
- こんな気分向け
「頑張っているのに報われない」と、徒労感に押しつぶされそうな時 - 読むと得られるもの
「何をしないか」を決める勇気と、生産性を劇的に上げる思考の地図 - Low calmの判定
「時間投資の価値アリ(ビジネスマンなら必読)」
Low calmが「グッときた」ところベスト3
【第1位】「犬の道」に入ってはいけない

本書で最も残酷で、かつ誠実な教えです。
多くの人は「質」を上げるために「量」をこなそうとします。
しかし、何が重要かも分からぬまま、手当たり次第に問題を解こうとする行為を、著者の安宅氏は「犬の道」と呼びます。
人事の視点で見ても、長時間労働による疲弊は、思考の解像度を下げ、致命的なミスを誘発します。
起業においてまず「解くべき問い(イシュー)」の質を上げることに心血を注がなければ、どれだけ動いても報われません。
【第2位】「知っている」ことより「使える」情報

FPとして数字を扱うときも痛感しますが、情報は多ければいいというものではありません。
起業に失敗する人は、準備という名の「情報収集」に溺れ、時間を溶かします。
本書は、情報の取捨選択において答えを出せる見込みがあるかという合理的な基準を提示してくれます。
答えの出ない問いに執着することは、起業家にとって最大の機会損失だと断言せざるを得ません。
【第3位】一次情報に触れることの重み

「人事のデータ」だけを見て社員の幸福度を語ることはできません。現場の体温を知る必要があります。
本書でも、現場の一次情報を重視しています。
起業の成否を分けるのは、机上の空論ではなく、現場の生々しい手触りから導き出された仮説です。
自分の足で稼いだ情報だけが、意思決定の最後の拠り所になります。
どんな人におすすめなのか
✅ おすすめな人(時間を投資すべき人)
- 起業を志しているが、何から手をつけていいか混乱している人
- 「努力は裏切らない」という言葉に、うっすらと限界を感じている人
- 合理的、論理的に最短距離で結果を出したい人
🚫 おすすめしない人(ミスマッチの可能性)
- 「がむしゃらに動くこと」自体に酔っていたい人
- 直感と運だけで乗り切りたいと考えている人(本書の論理性が苦痛に感じるはずです)
紙 or 電子どの形式で「時間」を使うべきか?
(◎:最適、〇:適している、△:不向き)
- 電子書籍:◎
この本は、仕事の途中で何度も読み返すことになります。キーワード検索ができる電子版は、FP的に見ても「情報の引き出し効率」が非常に高い投資です。 - 紙の書籍:〇
図解が多いため、じっくり腰を据えて理解したいなら紙が良いでしょう。 - オーディオブック:△
構造的な思考を問う内容のため、耳だけで理解するのは少しハードルが高いと感じます。
まとめ:あなたの「時間」を投資する価値はあるか
起業で成功する人は、「自分の命(時間)を何に使うか」に対して、病的なまでに誠実です。
難病を経験した私は知っています。 私たちに残された時間は、思っている以上に少ない。 だからこそ、成果の出ない「犬の道」に迷い込んでいる暇はありません。
本書を読み終えた後、あなたのデスクに積み上がった「やるべきことリスト」の8割は、捨てるべきゴミに見えるはずです。 その時初めて、あなたは成功へのスタートラインに立つのです。
まずは、お気に入りの紅茶を一杯淹れて、この本を開いてみてください。 その数時間は、あなたの人生の数年分を救う投資になるでしょう。

