その物忘れ、「年のせい」で片づけてませんか? 脳神経外科医が明かす『12週間で天才脳』は可能か、人事部が本音でレビュー
「あれ、今何をしようとしてたんだっけ?」 「昨日会った人の名前が、どうしても思い出せない」 「会議中、頭にモヤがかかったように冴えない」
もしあなたが、こうした「脳の衰え」のサインを感じ始めているなら。 そして、それを「もう年だから仕方ない」と諦めかけているなら。
あなたの時間を大切にするため、最初に結論を言います。
本書『SHARP BRAIN たった12週間で天才脳を養う方法』は、「脳の衰えは、年のせいではなく、生活習慣のせいである」と断言し、「脳は何歳からでも鍛え直せる」という希望を、世界トップクラスの脳神経外科医が科学的根拠(エビデンス)をもって叩きつけてくる一冊です。
これは、巷に溢れる「これを食べればOK」「このパズルだけやればOK」といった、耳障りの良いだけの気休めの本ではありません。
脳を最高の状態に保つための「5つの柱」を学び、それを「12週間」で実践するプログラムが記された、極めて具体的な「脳の取扱説明書」です。
どうも、「本の変人」Low calmです。 年間150冊ほどの本を読みますが、本業は会社員として人事労務管理をしています。つまり、「人のパフォーマンス」や「健康」が日々の最大の関心事です。
そんな私が、この分厚いビジネス書(健康書)を手に取ったか。それは、私自身が「脳のパフォーマンス低下」を痛感し始めたからに他なりません。
この記事では、私が本書を読んで「時間の無浪費」どころか「人生の投資」だと確信した理由を、正直にお伝えします。
この記事でわかること
- 年間150冊読む人事部員が「脳のバイブル」と確信した理由
- 著者が提唱する、脳を鍛える「5つの柱」の核心
- 本書が「おすすめな人」と「時間の無駄になる人」の明確な違い
この記事を最後まで読めば、あなたは「脳の衰え」に対する漠然とした不安から解放され、「今日から何をすべきか」という具体的な行動プランを手にしているはずです。
🧠 Low calmが選ぶ「グッときたところ」ベスト3
本書は400ページ近いボリュームですが、「あなたの時間を大切にする」という私のモットーに基づき、最も心臓を掴まれた箇所を第1位から紹介します。
第1位:脳を最強にする「5つの柱」という圧倒的な具体性
私が本書を「本物だ」と確信した最大の理由がこれです。著者は、脳を健康に保ち、認知症(特にアルツハイマー病)を予防するために不可欠な要素として、以下の「5つの柱」を提示しています。
- 運動する(MOVE)
- 発見する(DISCOVER):新しいことを学ぶ、目的意識を持つ
- リラックスする(RELAX):睡眠とストレス管理
- 栄養をとる(NOURISH):脳に良い食事
- 交流する(CONNECT):社会的なつながり
これを見て、「なんだ、当たり前のことじゃないか」と思ったかもしれません。 私も最初はそう思いました。ですが、本書の凄みはここからです。
著者は脳神経外科医として、「なぜ」これら5つが脳神経の再構築(レジリエンス)に不可欠なのかを、膨大な医学的エビデンスと共に、これでもかと解説します。
この5つは、それぞれが独立しているのではなく、すべてが連携して脳を守る「防衛システム」なのだと著者は説きます。
特に私(人事労務)の視点で刺さったのは、「運動」と「交流」の重要性です。
多くのビジネスパーソンは、デスクワークで「運動」を犠牲にし、リモートワークで「交流(雑談レベルの社会的つながり)」を失いました。私自身、社員のメンタル不調の相談に乗る際、その多くが「運動不足」と「孤独感」を抱えている現場を見てきました。
これまでは「メンタルが落ち込むと、運動や交流ができなくなる」という因果関係で捉えていました。しかし、本書を読み、「運動や交流をしないから、脳の機能が低下し、結果としてメンタルが落ち込む」という、逆の(あるいは両方向の)因果関係を強く意識させられました。
これは個人の問題ではなく、組織のパフォーマンスを左右する「健康経営」の根幹です。脳の機能低下は、個人の生産性を落とすだけでなく、組織の活力を確実に奪います。
本書は、「健康な脳」を維持することが、いかに最高のビジネススキルであるかを教えてくれます。
第2位:「認知症は生活習慣病である」という残酷な真実と希望
第2位は、本書の根幹をなすメッセージです。 私たちは「認知症は避けられない、運が悪ければなるもの」と思いがちです。しかし、著者は最新の研究結果を基に、それを真っ向から否定します。
これは、ある意味で残酷な宣告です。 今、私たちが送っている「不摂生な生活」のツケは、20年後に最悪の形で返ってくる可能性がある、ということです。
しかし、これは同時に最大の希望でもあります。 「予防できる」のですから。
仕事が忙しいからとコンビニで軽くおにぎりだけを買おうとして店内に入ったにも関わらず、おにぎりだけだと足りないからとパンを追加する。さらに、デザートの店を見ると季節限定の新商品も手に取る。レジの会計中にホットスナックがいつもより安くなっているからと、ついつい注文してしまう…。
しかし、本書を読んでハッとしました。私たちが本当に取り組むべきは、「20年後に顕在化する問題」を「今、予防する」ことではないか、と。
社員の健康診断の結果を見て「ああ、また数値が悪いな」で終わらせるのではなく、なぜ彼らが「脳に悪い生活」を選ばざるを得ないのか、その組織的要因(長時間労働、ストレス、コミュニケーション不足)にメスを入れることこそが、人事の仕事だと痛感させられました。
本書の後半は、認知症の診断や介護者のケアについても触れられており、親の世代を心配する私自身の「自分ごと」としても、深く刺さりました。
第3位:口だけじゃない。「12週間プログラム」という実践ロードマップ
私が「時間の無駄だ」と感じる本の共通点は、「理論」や「精神論」は立派だが、「じゃあ、具体的に何をすればいいの?」が欠けている本です。
その点、本書はしっかりと改善点が具体的に示されていました。 第9章で、第1位で紹介した「5つの柱」を、具体的に12週間にわたって習慣化していくためのプログラムが組まれているのです。
この「少しずつ、着実に」というステップが、非常によく考えられています。 私たちは「全部やろう!」と意気込んで、3日で挫折します。そうではない。脳神経外科医である著者が、人間の(そして自分の)弱さを理解した上で、「これならできるだろう?」と現実的なプランを提示してくれているのです。
「天才脳」というタイトルは少し派手ですが、中身は「健康な脳を維持するための、地道な習慣づくり」です。しかし、その地道な習慣こそが、結果的に高いパフォーマンス(=天才脳)を生み出すのだと、400ページかけて説得されます。
🤷♀️ どんな人におすすめなのか?
年間150冊読む「本の変人」として、本書を「読むべき人」と「読んでも時間の無駄になる人」を、正直に分類します。
おすすめな人
- 「最近、脳の衰え(物忘れ・集中力低下)をガチで感じ始めた」40代以上の人
- 漠然とした不安の「正体」がわかります。これは老化ではなく、生活習慣の見直しサインです。
- 「仕事のパフォーマンスを本気で上げたい」ビジネスパーソン
- 小手先のテクニックではなく、脳という「OS」自体をアップデートする方法が学べます。人事の視点からも、全ビジネスパーソン必読だと感じます。
- 「親の認知症が心配」で「自分も予防したい」と考えている人
- 認知症(特にアルツハイマー病)の最新の予防策が、これ以上ないほど具体的にわかります。家族で読むべき一冊です。
おすすめしない人(時間の無駄になる人)
- 「飲むだけでOK」「寝ているだけでOK」といった魔法の特効薬を求めている人
- 本書が要求するのは「日々の地道な生活改善」です。楽をしたい人には向きません。
- 「運動や食事制限なんて、絶対にやりたくない」と固く決意している人
- 本書の核心は「5つの柱の実践」です。読むだけ読んで行動しないなら、その時間は他の本を読むべきです。
- すでに高度な脳科学の専門知識を持ち、最新の論文を読み漁っている人
- 本書は、専門家である著者が「一般向け」に噛み砕いて書いたものです。最先端の研究者にとっては、物足りない可能性があります。
📚 著者のプロフィール、本の詳細
著者のプロフィール
サンジェイ・グプタ(Sanjay Gupta)
- アメリカの脳神経外科医。
- CNNの主任医療特派員として、世界的なパンデミックや医療問題の最前線をレポートし、エミー賞を複数回受賞しています。
- ミシガン大学医学部准教授、エモリー大学医学部脳神経外科准教授などを歴任。
- まさに、脳と医療ジャーナリズムの第一人者です。
本の詳細
- タイトル: SHARP BRAIN たった12週間で天才脳を養う方法
- 著者: サンジェイ・グプタ
- 翻訳: 伊藤 理恵
- 出版社: 文響社
- 発売日: 2022年6月9日
- ページ数: 384ページ
🔑 まとめ:あなたの「脳」は、まだサビついていない
あらためて、本書の核心をまとめます。
私が本書から学んだのは、「脳のパフォーマンスは、才能や年齢ではなく、『5つの柱(運動・発見・リラックス・栄養・交流)』という日々の具体的な習慣の積み重ねによって決まる」という事実です。
「グッときたところベスト3」で挙げた、
- 「5つの柱」という具体性
- 「認知症は予防できる」という希望
- 「12週間プログラム」という実践性
これらすべてが、私たちに「今日から行動せよ」と強く迫ってきます。
私自身、この本を読んでから、明確に行動が変わりました。 以前は「忙しいから」と後回しにしていた、週3回のジムでの運動を再開しました。なぜなら、それがサボりがちな「タスク」ではなく、脳のゴミを掃除し、新しい神経回路を作るための「最優先の投資」だと、腹の底から理解できたからです。 また、人事として、社員のリモートワーク環境における「社会的交流(CONNECT)」の機会をどう設計するか、真剣に悩み始めました。
もしあなたが、この記事を読んで「自分も何か変えなければ」と少しでも感じたなら、まずは「12週間プログラム」の第一歩、「5つの柱」のうち、最も簡単な1つから始めてみてください。
それは、エレベーターではなく階段を使うこと(運動)かもしれません。 いつもと違う道で帰ってみること(発見)かもしれません。 寝る前のスマホを、本に変えること(リラックス)かもしれません。
その小さな一歩が、あなたの10年後、20年後の「脳」を確実に守るのです。 あなたの時間を無駄にしない、確かな一冊でした。

