このブログの著者について
ノンフィクション
PR

「よかれと思って」が、なぜ相手をダメにするのか?――『アドバイスをしてはいけない』を読んだ人事部員(活字中毒)の告白

Low Calm
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「よかれと思って」。 この言葉ほど、人間関係において厄介なものはありません。

こんにちは。「本の変人」、Low calm(ロウカーム)です。 美味しいお茶と本があれば幸せな、人事労務課の会社員であります。

私のモットーは「あなたの時間を大切にすること」。 年間150冊読む活字中毒者として、あなたに「本選びの失敗」という最悪の時間の浪費をさせない。その一点にコミットしています。

さて、いきなりですが結論から申し上げます。

今回ご紹介するマイケル・バンケイ・スタエニ氏の『アドバイスをしてはいけない』は、 「助言という名の自己満足」から脱却し、相手の可能性を本気で引き出すための「質問術」を学べる、すべてのアドバイスしたがる病(やまい)の人に捧ぐ一冊です。

「部下にアドバイスしたのに、まったく響いていない」 「良かれと思って助言したら、なぜか関係がギクシャクした」 「家族や友人に、つい『こうした方がいい』と口出ししてしまう」

心当たりがあるなら、この記事を読み進める価値があります。

この記事から得られる「あなたのベネフィット」

  • なぜ、あなたのアドバイスが相手に(驚くほど)届かないのか、その根本原因がわかります。
  • 「アドバイスお化け」を卒業し、相手に信頼される「問いかけ」の具体的なヒントが得られます。
  • 私が本業(人事労務管理)で実践し、衝撃を受けた本書の核心を知ることができます。

この記事を読み終える頃には、あなたは「教える人」から「引き出す人」へと変貌する、その第一歩を踏み出しているはずです。

あなたの貴重な時間をいただくのですから、まずは私が最も心をえぐられた箇所から。


🧠 グッときたところベスト3(第1位から発表)

私が本書を読み、雷に打たれたような衝撃を受けた箇所を、体験談と共に紹介します。私がなぜこの本を「時間の無駄ではない」と断言するのか、その理由がここにあります。

第1位:「助けたい」は、相手から「学ぶ機会」を奪う行為である

本書全体を貫く、最も重要なメッセージです。 私たちは「助けること」「アドバイスすること」をポジティブな行為だと信じて疑いません。しかし著者は、その行為が持つ「毒性」を容赦無く暴きます。

【私の体験談と考察】 これを読んだ時、私は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けました。 なぜなら、人事という仕事柄、「社員を助ける」のが私の存在価値だとさえ思っていたからです。

悩んでいる社員がいれば、先回りして答えを提示し、問題を解決し、スッキリさせてあげる。それが「良い人事」だと。

しかし、思い返せば苦い記憶があります。 数年前、私が手取り足取り「助けた」部下は、結局その後も「待ち」の姿勢から抜け出せませんでした。私が休むと、途端に業務が停滞する。私は「彼のため」と思っていましたが、実際は「私がいないとダメな状況」を作り出し、それに満足していただけなのかもしれません。

「助けたい」のではなく、本当は「私が解決したい」というエゴだったのではないか。 本書は、そんな私の「よかれと思って」という名の傲慢さを、徹底的に炙り出しました。

「助ける」のではなく、「待つ」。 「答えを教える」のではなく、「答えを見つけるまで付き合う」。 これこそが、相手を本当の意味で尊重することだと気づかされたのです。

第2位:「沈黙」こそが、最強の質問である

本書は具体的な「質問」のテクニック(全部で7つあります)を紹介していますが、その中でも特に強力な「技術」として「沈黙」の価値を説いています。

正直に告白します。私は「沈黙」が死ぬほど苦手でした。

面談や会議で数秒の沈黙が流れると、もうダメです。「何か気の利いたことを言わねば」「この気まずい空気を何とかしなければ」と、焦って自分が話し始めてしまう。

しかし本書を読み、意識して「沈黙」を試してみました。 部下が「…以上です」と話を終えた後、私はいつものように「なるほど。じゃあ、こうしたら?」と口を挟むのをグッとこらえ、ただ黙って、相手の目を見て頷いてみたのです。

3秒、5秒…。永遠にも思える時間。 私が口を開きかけた、その時でした。 部下がポツリと、こう言ったのです。 「あ、あと…実は、本当に悩んでるのは、別のことで…」

そこから出てきた話こそが、彼の本音であり、問題の真因でした。

私たちは「間」を恐れすぎている。 アドバイスする側が饒舌になるのではなく、相手に「深く考える時間」と「話し出す勇気」を与えること。そのために必要なのが、こちらの「口を閉じる勇気」=「沈黙」なのだと痛感しました。

第3位:「そして、他には?」(AWE質問)

本書で紹介される「7つの質問」のうち、ネタバレにならない範囲で、最もシンプルかつ強力なものを一つだけ紹介します。それが「AWE質問」です。

And What Else? 日本語にすれば、「そして、他には?」

「たったこれだけ?」と思うかもしれません。 しかし、侮らないでください。この質問の威力は絶大です。

私たちは、相手が何かを話すと、すぐに「解決策」や「自分の意見」を言いたくなります。 「それなら、A案よりB案がいいよ」 「わかる。私も昔、同じ経験したけど…」

そうではなく、ただ「そして、他には?」と問い続ける。 これはテクニックであると同時に、「私はあなたの話をもっと聞きたい」という強力なメッセージになります。

人事の面談でこれを実践したところ、ある社員が「もう悩みはありません」と言った後、この質問を(しつこく)2回繰り返したところで、堰を切ったように本当の退職理由を話し始めてくれました。

アドバイスは、相手がすべてを吐き出し、相手自身が「助け」を求めた時に初めて意味を持ちます。それ以前のアドバイスは、ただの「ノイズ」か「押し付け」でしかない。 このシンプルな質問が、そのことを教えてくれました。


🙋‍♂️ どんな人に「おすすめ」なのか?

私の独断と偏見、そして人事労務としての視点から、本書を読むべき人、読むべきでない人をハッキリと仕分けします。

【こんな人におすすめ】

  1. 部下や後輩の「育成」に本気で悩んでいるマネージャー・リーダー
    • 「指示待ち」の部下を「自走」する部下に変えたい。
    • 自分のアドバイスが「マイクロマネジメント」になっていないか不安。
    • そう感じているなら、本書はあなたの「育成」の概念を根底から覆します。
  2. 「よかれと思って」が空回りしがちな、お節介な人
    • (かつての私のように)良かれと思って助言し、なぜか相手に煙たがられる。
    • 「なんでわかってくれないんだ!」とイライラしがちな人。
    • その原因が、100%「あなた」にあることを優しく(厳しく)教えてくれます。
  3. 家族や友人との関係を、もっと良くしたい人
    • 配偶者や子供、親友との会話で、つい「正論」や「アドバイス」を振りかざしてしまう。
    • 本書の「質問術」は、ビジネスシーンだけでなく、最も身近な人間関係にこそ劇的な効果を発揮します。

【こんな人には「おすすめしない」】

  1. すぐに使える「魔法のフレーズ」だけが欲しい人
    • 本書は「これを言えば相手が動く」といった安易なテクニック集ではありません。
    • むしろ、あなた自身の「在り方」や「スタンス」を変えることを要求する、ある意味で「しんどい」本です。
  2. コーチングの高度な専門理論を体系的に学びたい人
    • 本書は驚くほど実践的でシンプルです。
    • アカデミックな理論的背景や、複雑なコーチングモデルを学びたい場合は、別の専門書を当たるべきです。
  3. 自分の「アドバイス」が常に正しいと信じて疑わない人
    • もしあなたが「自分は絶対に正しい」「相手は間違っているから教えてやる」というスタンスを崩すつもりがないなら、本書を読む時間は無駄になります。
    • (むしろ、そういう人にこそ読んでほしいのですが…)

📖 著者のプロフィールと本の詳細

ここで、この「耳の痛い」良書を世に送り出した著者と、本の基本情報を確認しておきます。

著者:マイケル・バンケイ・スタエニ (Michael Bungay Stanier)

  • 「Box of Crayons」の創設者であり、シニア・パートナー。
  • 世界的に有名なコーチングの専門家であり、教育者。
  • 本書『アドバイスをしてはいけない』(原題: The Coaching Habit)は、世界で100万部を超えるベストセラーとなっています。
  • 彼のミッションは、「多忙なマネージャーが、部下の能力を引き出すコーチングを(10分以内で)実践できるようにする」こと。本書はそのための超実践的なガイドブックです。

本の詳細

  • タイトル: アドバイスをしてはいけない [コーチングの神様が教える「聞く」技術]
  • 著者: マイケル・バンケイ・スタエニ
  • 翻訳: 吉田 典生
  • 出版社: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2020年4月17日
  • ページ数: 240ページ
  • 出典元 (Amazon): https://www.amazon.co.jp/dp/449204664X

目次(一部抜粋・要約)

本書の構成は非常にシンプルです。なぜアドバイスがダメなのか、そして代わりに何をすべきか(7つの質問)が、明確に示されています。

  • はじめに: なぜ、あなたの「アドバイス」は機能しないのか
  • 第1章: 質問の「習慣」を身につける
  • 第2章: 7つの「最強の質問」
    • (質問1)「きっかけ」をつくる質問
    • (質問2)「AWE」質問(「そして、他には?」)
    • (質問3)「的を絞る」質問
    • (中略)
  • 第3章: 「質問」を部下育成の習慣にする方法
  • おわりに: あなたはどう変わるか

(※著作権に配慮し、目次の詳細は要約・抜粋しています)


🏁 まとめ:あなたの「よかれと思って」を、「最強の問い」に変える方法

さて、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。 あなたの貴重な時間をいただいたので、最後に本書の核心をもう一度お伝えします。

本書を読む前の私は、「正しい答え」をいち早く教えることが「助ける」ことであり、それが人事担当者としての責務だと信じていました。

しかし本書を読み、それは私の傲慢であり、自己満足であった可能性に気づかされました。 私が本当にすべきだったのは、アドバイスという名の「介入」ではなく、相手が自ら答えを見つけるまで「待つ」ことでした。

「グッときたところベスト3」で挙げたように、 「助けたい」という衝動を抑え(第1位)、 「沈黙」を恐れず(第2位)、 「そして、他には?」(第3位)と問い続けること。

これが、本書が提示する「アドバイスをしない」という最強のコミュニケーション術の核心です。

もしあなたが明日、誰かに「アドバイス」したくなったら、グッとこらえて、代わりにこう質問してみてください。

「そして、他には?」

その一言が、あなたと相手の関係を、そして相手の未来を変える「最初の一歩」になるかもしれません。

あなたの貴重な時間を「失敗した読書」に使わせない。 本の変人、Low calmでした。


ブックカバー
Recommend
こちらの記事もどうぞ
記事URLをコピーしました