あなたの雑談、無価値な「天気の話」で終わっていませんか? 一流の「中身」を手に入れる読書術
「本の変人」、Low calm(ロウカーム)です。美味しいお茶と読書を愛し、年間150冊の活字の海を泳いでいます。
私のモットーは「あなたの時間を大切にすること」。 私自身が「この本、読む時間の無駄だったな」と本選びに失敗することを心底嫌っており、このブログでは、あなたが「失敗しない一冊」と出会う手伝いをしています。
さて、いきなりですが、あなたの「雑談」、価値を生んでいますか?
「今日は暑いですね」 「週末は何を?」 「(エレベーターで上司と二人きり)……(沈黙)」
心当たりがあるなら、危険信号です。 本業で人事労務管理をしていると、日々多くの人と面談や調整を行いますが、驚くほど多くのビジネスパーソンが「無価値な雑談」に時間を浪費している現実を目の当たりにします。
先に結論を言います。 もしあなたが「雑談=場を繋ぐための、当たり障りのない暇つぶし」あるいは「口八丁手八丁のトークテクニック」だと思っているなら、今すぐこの記事を閉じてください。
今回紹介するピョートル・フェリクス・グジバチ氏の『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』は、そんな低レベルな話は一切していません。
本書は「話し方」のテクニック本ではなく、雑談を「武器」に変えるための「思考法」と「マインドセット」の本です。
この記事では、年間150冊読む活字中毒の私が、忖度なしで本書を解剖します。 この記事を読むメリットは以下の通りです。
- あなたが本書を読むべきか、時間の無駄になるか、5分で判断できる。
- 本書の核心である「一流の雑談思考」の最も重要なエッセンスがわかる。
- 明日からあなたの雑談が「無価値な時間」から「有益な情報交換」に変わる第一歩がわかる。
この記事は、最初だけ読んでも「自分が読むべき本か」が判断できるように書いています。もし、より深く「どう思考を変えるべきか」を知りたい場合は、最後まで読み進めてください。
あなたの貴重な時間が、価値あるインプットに使われることを願って。
📚 Low calmが「グッときた」ところベスト3
本書は、Googleで人材開発を統括した著者が、日本と世界の「雑談」の決定的な違いを抉り出す一冊です。私が特に心を撃ち抜かれ、人事という仕事柄「これだ!」と膝を打った箇所を、第1位から紹介します。
第1位:「雑談=価値交換」という定義そのもの
一流の人たちにとって、雑談は「価値交換」の場なのです。 (中略) 自分と相手がお互いに「何か」を得られる時間。それが、彼らにとっての雑談です。
これが本書の結論であり、私が最も衝撃を受けた部分です。
私たちは雑談を「本題に入る前の潤滑油」「気まずい沈黙を埋めるもの」程度に考えています。しかし、本書が定義する「一流の雑談」は真逆です。それは「本題」そのものであり、ビジネスチャンスを生み出す「情報戦」なのです。
「天気の話」に何の情報的価値がありますか? 「昨日食べたラーメンの話」に、どれほどの生産性がありますか? (もちろん、それが相手の深いインサイトに繋がるなら別ですが)
人事という仕事柄、採用面接で多くの学生や転職者と話します。アイスブレイクとして雑談を振った際、「特にありません」「普通です」と返す人と、「最近読んだこの本が、御社のこの事業に繋がると感じました」と返す人。どちらと一緒に働きたいか、言うまでもありません。
前者は雑談を「やり過ごす時間」と捉え、後者は「自己プレゼンの場(価値交換)」と捉えている。この差は、入社後の成長速度にも直結します。
本書は、「無意味な会話」を「雑談」と呼ぶこと自体を辞めよう、と提案します。雑談は、自分の知性、価値観、哲学を開示し、相手のそれを引き出す「真剣勝負」なのだと。
この定義を知るだけでも、本書を読む価値はあります。あなたの「雑談」という言葉の定義が、根底から覆されるはずです。
第2位:「自分のアジェンダ」を持ち、相手の「型」を破る
「一流」と呼ばれる人たちは、例外なく雑談の場に「自分のアジェンダ(目的意識)」を持って臨んでいます。 (中略) 相手の「型」にはまった答えではなく、「その人」自身の言葉を引き出すのです。
第1位がマインドセットなら、第2位は具体的な思考法です。
日本の雑談は「型」にハマりすぎています。 「趣味は何ですか?」→「読書です(本当はゲームだけど、無難に答えよう)」 「週末は?」→「家でゆっくりしてました(本当は副業の準備をしてたけど、言う必要ないか)」
これでは、何の価値交換も起きていません。 著者は、一流は「天気の話」など、誰でもできる「型」の話はしない、と断言します。彼らは、「あなたはどう思うか?」という問いを投げかけるのです。
例えば、「最近のAIの進化、恐ろしいですよね」という「型」の雑談に対し、一流は「私は、AIは人間の創造性を補完するツールだと考えていますが、〇〇さんはどのようにお考えですか?」と、自分の意見(アジェンダ)を提示した上で、相手の意見を求めます。
これは、私自身の反省でもあります。 人事として社内調整を行う際、つい「〇〇さん、最近忙しいですか?(当たり障りのない入り)」と始めてしまいがちでした。しかし本書を読んでからは、「〇〇さん、今期の新人研修の成果ですが、私は『実践力』が不足していると感じています。現場の感覚としてはいかがですか?」と、いきなり自分のアジェンダをぶつけるように意識を変えました。
結果、相手も「型」の答え(「そうですね、忙しいです」)ではなく、「いや、Low calmさん、実は私もそう思っていて…」と、即座に「価値交換」が始まるのです。
雑談に「目的」を持つこと。それは相手をコントロールすることではなく、より深いレベルで「その人」と繋がるための、最短ルートなのだと痛感させられました。
第3位:「社内雑談」こそが心理的安全性を生む
グーグルが強いのは、社内の雑談が活発で、「心理的安全性」が担保されているからです。 (中略) 雑談を通して「この人には何を言っても大丈夫だ」という信頼関係を構築しているのです。
Google出身の著者ならではの視点であり、人事労務担当として最も共感した箇所です。
近年、ビジネス界で「心理的安全性」という言葉がバズワードになっています。しかし、多くの企業が「心理的安全性を高めよう!」と研修をしても、全く効果が上がらない。なぜか。
それは、「何を言っても大丈夫」という信頼関係が、日々の「雑談」によってしか構築されないことを理解していないからです。
本書によれば、Googleのオフィス設計は、意図的に「雑談が生まれる」ように作られているといいます。コピー機の前、カフェテリア、廊下の曲がり角。そこで交わされる「価値交換」の積み重ねが、チームの信頼(心理的安全性)を作っているのです。
逆に、私の職場で成果の出ないチームを観察すると、決まって「雑談」がありません。業務連絡のみ。Slackはスタンプだけ。飲み会もなし。 これでは、お互いが「何を考えているか」が分かりません。「こんなこと言ったら馬鹿にされるかも」「評価が下がるかも」と萎縮し、結果、イノベーションも生産性も生まれないのです。
本書は、心理的安全性を「制度」や「研修」で作ろうとするのは間違いであり、リーダーやメンバーが日々行う「質の高い雑談」という行動によってのみ醸成されると説きます。
「最近〇〇のニュース見た? 私はこう思ったんだけど、どう思う?」 この一言が言えるかどうか。それが、強い組織と弱い組織の分水嶺なのです。
👤 どんな人におすすめなのか
本書は、間違いなく「人を選ぶ」本です。私の主観と人事としての視点を踏まえ、読むべき人・読んでも時間の無駄になる人を明確に提示します。
✅ こんな人におすすめです
- 「雑談=天気の話や世間話」だと思い込んでいる人 まさに過去の私です。雑談の定義そのものをアップデートしたい人、雑談が苦手なのではなく「無価値な会話」が嫌いなだけだった、と気づきたい人には最適です。
- 仕事で「こいつ、中身がないな」と絶対に見抜かれたくない人 面接や商談の場で、当たり障りのない会話で終わってしまう人。あなたの「知性」や「価値観」が相手に伝わっていない証拠です。本書は、雑談を通じて「自分」を的確に伝える方法を教えてくれます。
- チームの心理的安全性を高めたいリーダー・管理職(人事担当者) 「最近、部下が何を考えているかわからない」「会議で意見が出ない」と悩む人。その原因は「雑談の質と量」にあるかもしれません。Google流の組織論としても非常に参考になります。
❌ こんな人にはおすすめしません(時間の無駄です)
- 具体的な「話し方テクニック」だけを求めている人 「雑談が盛り上がる魔法のフレーズ5選」のような、手っ取り早いノウハウを求めている人には向きません。本書はマインドセット(思考法)が8割であり、小手先の技術はほぼ載っていません。
- 雑談は「単なる暇つぶし」であり、仕事と切り離したい人 「仕事の雑談とか面倒くさい」「会話はプライベートだけで十分」と割り切っている人が読んでも、著者の熱量に「意識高いな」と反発するだけでしょう。時間の無駄です。
- すでに「雑談は価値交換の場だ」と理解し、実践している人 本書に書かれていることは、グローバルなビジネスシーンで活躍する人にとっては「当たり前」のことかもしれません。そういう方が読んでも、新たな発見は少ない可能性があります。
📖 目次、著者プロフィール、本の詳細
目次
本書は、日本の「世間話」と世界の「スモールトーク(雑談)」の違いから始まり、社内・社外での実践的な思考法、そしてNG例まで、体系的に構成されています。
- はじめに 日本人は「雑談」を世間話や無駄話と考えている
- 第1章 「世界」の雑談と「日本」の雑談
- 第2章 グーグルの強さの秘密を知る! 強いチームをつくる「社内雑談力」の極意
- 第3章 どうすれば結果が出せるのか? 武器としてのビジネスの雑談
- 第4章 こんな雑談は危ない! 6つのNGポイント
- おわりに リモートワークの増加が雑談の重要性を浮き彫りにした
(出典:クロスメディア・パブリッシング公式サイト
https://www.cm-publishing.co.jp/9784295408109/及び Amazonhttps://www.amazon.co.jp/dp/4295408107の目次情報より構成)
著者プロフィール
ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
連続起業家、投資家、経営コンサルタント。ポーランド出身。 モルガン・スタンレーを経て、Googleに入社。人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントの分野で活躍。2015年に独立し、現在はプロノイア・グループ株式会社の代表取締役などを務める。 著書に『NEW ELITE』など多数。
Googleで「人」と「組織」のプロフェッショナルだった人物が、日本企業の「雑談」にメスを入れる。この背景だけでも、本書の説得力が伝わるはずです。
本の詳細
- 書籍名: 世界の一流は「雑談」で何を話しているのか 年収が上がる会話の中身
- 著者: ピョートル・フェリクス・グジバチ
- 出版社: クロスメディア・パブリッシング
- 発売日: 2023年3月31日
- ページ数: 240ページ

