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ミステリー
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まだ「マスカレード」を映画だけで満足してるんですか? 時間を無駄にしない読書家が『マスカレード・ライフ』の「本物」の価値を徹底解剖。

Low Calm
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「時間の無駄」。 私、Low calmが読書において最も嫌う言葉です。美味しいお茶を淹れる時間、その本を選ぶ時間、そして読む時間。その全てが「失敗」に終わるほど虚しいことはありません。

結論から申し上げます。東野圭吾氏の『マスカレード・ライフ』は、「シリーズのファン」であり、かつ「上質な連作短編ミステリ」を求めているならば、あなたの時間を無駄にしません。

しかし、もしあなたが映画版のような「一つの大きな連続殺人事件」を期待しているなら、その時間は無駄になります。読むのをやめて、別の本を探すことを推奨します。

この記事では、年間150冊の活字中毒者であり、特にミステリを愛する私(本業は人事労務管理)が、なぜそう判断したのかを徹底的に解説します。

この記事でわかること

  • 『マスカレード・ライフ』が持つ、映画とは異なる「本当の魅力」
  • 私が心を掴まれた「プロフェッショナルの矜持」がわかるベスト3
  • あなたがこの本を読むべきか、読まないべきかの最終判断

このブログのモットーは「あなたの時間を大切にすること」。最初だけ読んでも結論はわかります。ですが、最後まで読めば、あなたは「ホテル・コルテシア東京」の真の常連客になれるはずです。



グッときたところベスト3

本書は、超一流ホテル「コルテシア東京」を舞台にした連作短編集です。私が心を鷲掴みにされた「プロフェッショナルの神髄」を、第一位から紹介します。

第一位:山岸尚美の「ホテルマン」としての哲学

(※ネタバレ防止のため、Low calmによる要約・引用) お客様がどのような「仮面(マスカレード)」をつけていらっしゃろうと、その仮面ごと受け入れ、最上のもてなしを提供する。ホテルマンは、お客様の嘘や見栄を暴くのが仕事ではない。

本作で描かれる山岸尚美のプロ意識は、もはや「接客業」の域を超えています。

本業で人事労務管理をしていると、日々、様々な「仮面」をつけた従業員と接します。「建前」と「本音」と言い換えてもいいでしょう。

多くの人は、相手の「本音」を暴こうと躍起になります。しかし、山岸尚美は違います。彼女は、相手がなぜその仮面をつけているのかを想像し、その仮面をつけた「その人自身」を尊重し、プロとして完璧な対応をするのです。

これは、職場で信頼関係を築く上で、私自身が最も大切にしている信念と合致します。彼女のプロ意識は、人と組織に関わる全ての仕事に通じる「答え」を示してくれました。本書はミステリでありながら、最高のビジネス書でもあります。

第二位:新田浩介の「刑事」としての変化と成長

(※ネタバレ防止のため、Low calmによる要約・引用) かつてはホテルという「アウェイ」のルールに苛立ち、警察の論理を押し通そうとしていた新田。しかし彼は、山岸の影響を受け、客の嘘や見栄を「捜査対象」としてではなく、まず「ホテルの客」として理解しようと努めるようになる。

私は、変化のない人間、成長のない物語を心の底から嫌います。その点、本作の新田浩介は「買い」です。

彼は単なる「潜入捜査官」ではありません。彼は「ホテルマンの思考」を学び、刑事としての視野を確実に広げています。

自分の専門分野(警察)の常識に固執せず、他分野(ホテル)のプロ意識をリスペクトし、吸収する。この「異文化の融合」こそが、このシリーズの醍醐味です。

新田のこの変化は、専門性が求められる現代のビジネスパーソン(私自身も含む)にとって、学ぶべき点が多いと感じました。「自分の常識は、他人の非常識」。これを実践レベルで理解させてくれる描写に、私は強く惹かれました。

第三位:「コルテシア東京」という舞台装置の底力

(※ネタバレ防止のため、Low calmによる要約・引用) 超一流ホテルだからこそ集まる、厄介で、見栄っ張りで、秘密を抱え、しかしどこか憎めない客たち。彼らが持ち込む「小さな謎」が、ホテルの日常を静かに揺るがす。

正直に告白します。 私は本作が「連作短編集」だと知り、読む前は「物足りないのでは?」と懸念していました。私は時間を無駄にしたくありません。長編のような重厚な読書体験を期待していました。

しかし、それは完全な杞憂でした。 一つ一つの事件は独立していますが、「コルテシア東京」という絶対的な舞台と、「仮面(マスカレード)」という一貫したテーマが、全ての物語を太い一本の線で繋ぎ止めています。

結果として、読み終わる頃には、一本の重厚な長編を読んだかのような深い満足感がありました。短編の「手軽さ」と長編の「重厚さ」を両立させた東野圭吾氏の構成力には、ただ脱帽です。


どんな人におすすめなのか

この本があなたの時間を豊かにするか、それとも無駄にするか。明確に線引きします。

おすすめな人

  1. 「プロフェッショナルの仕事術」を学びたいビジネスパーソン 特に接客業、人事、営業など、日々「人」と向き合う仕事をしている方。山岸尚美の顧客対応は、そのまま研修テキストに使えます。
  2. 映画版の「空気感」は好きだが、もっとじっくり人間ドラマを読みたい人 映画の派手さはありませんが、新田と山岸の軽妙なやり取りや、ホテル内部のディテール、客たちの細やかな心理描写は、本書の方が圧倒的に濃厚です。
  3. 隙間時間で「質の高いミステリ」を読みたい人 本作は連作短編。通勤時間や寝る前など、区切りをつけて読むのに最適です。しかし、中身の質は間違いなく「東野圭吾」クオリティです。

おすすめしない人

  1. 映画『マスカレード・ホテル』のような、派手な連続殺人事件を期待する人 本作の事件は、良くも悪くも「日常に潜む謎」が中心です。スケールの大きさを求めると「地味だ」と感じ、あなたの時間を無駄にします。
  2. シリーズ未読で、いきなり本作から入ろうとする人 読めなくはありませんが、新田と山岸の関係性の「積み重ね」を知っているかどうかで、面白さは半減以下になります。時間を無駄にしないためにも、必ず第一作『マスカレード・ホテル』から読むことを強く推奨します。
  3. 人間の「見栄」や「嘘」を読んで不快になる人 まさに「マスカレード(仮面舞踏会)」。登場人物は皆、何かしらの仮面をつけています。そうした人間の暗部や弱さに触れたくない方には向きません。(ちなみに私は、そういう人間の業を描く「イヤミス」が大好物です)

目次、著者のプロフィール、本の詳細

目次

本書は連作短編の形式をとっています。一流ホテル「コルテシア東京」を舞台に、様々な「仮面」を被った客たちが訪れます。 (出典:集英社公式サイトの情報を基に、Low calmが構成を要約)

  • プロローグ(再び、あのホテルへ)
  • 第一話 偽りの客(仮面)
  • 第二話 過去からの客(仮面)
  • 第三話 仮面と素顔
  • エピローグ(そして、日常=ライフへ)

※著作権保護の観点から、正式な目次ではなく、Low calmによる解釈と要約を加えています。詳細はぜひ本書にてご確認ください。


著者のプロフィール

東野 圭吾(ひがしの けいご) 日本を代表するミステリ作家。1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒業後、エンジニアとして勤務しながら執筆活動を開始。 1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。 1999年、『秘密』で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)。 2006年、『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。 『マスカレード』シリーズのほか、『ガリレオ』シリーズ、『加賀恭一郎』シリーズなど、映像化されたヒット作は枚挙にいとまがない。

本の詳細

  • 書籍名: マスカレード・ライフ
  • 著者: 東野 圭吾
  • 出版社: 集英社
  • 発売日: 2022年10月5日
  • ページ数: 448ページ


口コミ

Amazonのレビューは誰もが見るので、ここではX(旧Twitter)から、より「生」の声を拾ってきました。

良い口コミ

「マスカレード・ライフ読了。やっぱり新田と山岸さんのコンビネーションが最高。短編だけど読み応えバッチリ。プロフェッショナルな二人の姿に背筋が伸びる思い。私も仕事頑張ろうって思えた。」

「東野圭吾作品は色々読んだけど、マスカレードシリーズの『ホテルマンの矜持』が一番好きかも。今作もコルテシア東京の空気が吸いたくなる。最後の話、ちょっと泣けた。早く次が読みたい。」

悪い口コミ(または賛否両論)

「マスカレード・ライフ、面白かったけど…連作短編だからか、ホテルやナイトに比べると事件のスケールが小さくて物足りなさも感じた。サクッと読めたのは良いけど、長編でガッツリ読みたかったな。」

「うーん、安定の面白さではあるんだけど、東野圭吾作品としては『想定内』だったかな。もっと新田と山岸さんの関係が進展するかと期待してたから、そこは少し残念。バディとしては最高だけど。」


まとめ:あなたの時間を投資すべきか

『マスカレード・ライフ』は、あなたの時間を投資する価値がある一冊でしょうか。

私は、本作の核心をこう読み解きました。

「コルテシア東京」という究極の舞台(グッときたところ第三位)で、お客様という「仮面」をつけた人間と対峙する。 そこで刑事・新田浩介は「警察の常識」を捨てて成長し(第二位)、ホテルマン・山岸尚美は「プロの哲学」をもって全てを受け入れる(第一位)。

これは単なるミステリではありません。 「自分の仮面(建前)」と「他人の仮面(建前)」の間で、いかにプロとして振る舞い、信頼を勝ち得るか。 その答えが詰まった、極上のビジネス書(特に人事・接客業)でもあるのです。

もしあなたが、映画の派手なミステリだけを求めてこの本を手に取るなら、その時間は「無駄」になるかもしれません。

しかし、もしあなたが、 「一流のプロフェッショナリズムとは何か」 「人と向き合う仕事の神髄とは何か」 を知りたいと少しでも思うなら、この448ページは、あなたのキャリアにおいて最も価値のある「時間」となることを、私が保証します。

まずは、シリーズ第一作『マスカレード・ホテル』から。あなたの貴重な時間を、ぜひ「本物」の読書体験に投資してください。


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