【ネタバレなし】『地雷グリコ』書評|このロジック、まさに快感。
こんにちは、お茶と本の世界に浸る時間を愛する「本の変人」こと、Low calm(ロウカーム)です。
あなたの貴重な時間を「つまらない本」で絶対に無駄にしたくない。その一心で、私が「これは!」と確信した良書だけを厳選してご紹介しています。
さて、今回ご紹介する一冊は、まさに「脳が沸騰する」ような強烈な読書体験をもたらしてくれました。青崎有吾さんの『地雷グリコ』です。
2023年11月に発売されて以来、ミステリ界隈を席巻し、ついには「このミステリーがすごい! 2025年版」国内編で第1位に輝いた超話題作。
「ミステリって、人が死ぬからちょっと苦手…」 「最近、頭を使うような面白い本に出会えていない…」 「『ライアーゲーム』や『カイジ』のような、極限の頭脳戦が好き!」
もしあなたが一つでも当てはまるなら、この記事はあなたのためのものです。
この記事を最後まで読めば、『地雷グリコ』がなぜこれほどまでに絶賛されているのか、そして、あなたが今すぐこの本を読むべきかどうかが、明確にわかります。
どうぞ、お気に入りの一杯を片手に、究極のロジック・エンターテイメントの世界へご案内しましょう。
この記事でわかること
- 『地雷グリコ』が「このミス1位」に輝いた、その本当の凄さ
 - 【Low calm厳選】脳が痺れた「グッときたところベスト3」
 - この本を「絶対に読むべき人」と「読まない方がいい人」
 - 読むか迷った時の判断材料になる「生々しい口コミ」
 
📚『地雷グリコ』グッときたところベスト3
私がこの本を読みながら、何度「やられた!」と膝を打ち、何度お茶を飲む手を止めてしまったことか。その中でも、特に私の心を掴んで離さなかった「グッときたところ」を3つ、厳選してご紹介します。
1位:日常の遊びが「究極の頭脳戦」に変貌する瞬間
「ルールは、守る側が損をするようにできている」 (本書のテーマを象徴する一文として、私が感じ取ったエッセンスです)
この物語の最大の魅力は、なんといってもその設定の妙にあります。
舞台はごく普通の高校。そこで繰り広げられるのは、「グリコ(じゃんけんで進むアレです)」「坊主めくり」「じゃんけん」といった、誰もが知る“ありふれた遊び”です。
しかし、まったくありふれていません。
学園祭の屋台の場所取りを賭けた「グリコ」は、相手の歩幅や心理状態、そして隠された「地雷」の存在を読み合う、息詰まる心理戦と化します。
「グリコ」という誰もが知るゲームだからこそ、そこに加えられたたった一つの「特殊ルール」が、ゲーム性を根底から覆す。その変貌ぶりが鮮やかなのです。
私は普段、ミステリを読むとき「犯人は誰か?」という一点に集中しがちでした。しかし、『地雷グリコ』は違います。「どうすれば勝てるのか?」という問いに、主人公と一緒に全力で頭脳を回転させなければなりません。
まるで、作者の青崎有吾さんから「さあ、このルールの“穴”に気づけますか?」と挑戦状を叩きつけられているようでした。
この「日常が非日常に反転するスリル」こそ、殺人事件が起きるミステリとは全く異なる、新しい形の興奮を与えてくれました。
2位:主人公・射守矢真兎(いもりや まと)の強烈なギャップ
「勝負なんて、しなければ勝てるのに」 (彼女のスタンスを表すかのような、気だるい雰囲気を要約しました)
本作の主人公は、射守矢真兎(いもりや まと)という女子高生です。
彼女は、いつも気だるそうで、面倒くさがり。できれば目立ちたくないし、勝負事なんてまっぴらごめん。そんな「省エネ主義」の少女です。
しかし、彼女は一度“勝負の盤面”に立たされると、その眠っていた知性が覚醒します。
対戦相手のほんの僅かな癖、言葉の揺らぎ、ルールの盲点……それら全てを瞬時に分析し、常人では思いもよらない「勝ち筋」を見つけ出す。その姿は、もはや「天才」としか言いようがありません。
普段の「ゆるふわ」な姿と、勝負の最中に見せる「冷徹なまでの論理的思考」。この圧倒的なギャップが、たまらなく格好いいのです。
私たちは、つい「やる気に満ちた主人公」に感情移入しがちです。しかし、真兎は違います。彼女は「勝つため」ではなく、「面倒ごとを最短で終わらせるため」に、仕方なく、最小限の労力で、完璧に勝利するのです。
このアンチヒーロー的な魅力は、従来のミステリや青春小説の主人公像を打ち破るものであり、私が彼女の虜になるのに時間はかかりませんでした。
3位:「誰も死なない」のに、最高にスリリングな物語
「賭けるのは“命”じゃない。“日常”だ」
『地雷グリコ』は、「このミステリーがすごい!」で1位を獲得しましたが、いわゆる「ミステリ」のイメージとは少し異なります。
なぜなら、この本では誰も死なないからです。殺人事件も、血なまぐさいトリックも一切ありません。
彼らが賭けるのは、命や大金ではありません。 「学園祭で良い場所を確保する権利」 「部活の存続」 「面倒な生徒会への強制加入」
そう、彼らが失う可能性があるのは、彼らにとっての「平穏な日常」そのものです。
しかし、不思議なことに、命が懸かっていないにもかかわらず、その緊張感はデスゲーム系の作品に勝るとも劣りません。
それはきっと、私たちが失うものの大きさを知っているからです。「負けたらどうなるか」ではなく、「“あんな奴”に負けるなんて絶対に嫌だ」という、ティーンエイジャー特有の切実なプライド。それがヒリヒリと伝わってくるのです。
私は、ミステリやサスペンスが好きでありながら、時折、過度な残酷描写に疲れてしまうことがあります。
しかし『地雷グリコ』は、あくまでも「ロジック(論理)」と「ゲームの面白さ」だけで、読者を最初から最後まで惹きつけます。これは、作者の圧倒的な筆力と構成力の賜物でしょう。
「人が死ななくても、ミステリはこんなに面白くできるんだ!」 そんな、ジャンルそのものへの信頼と未来を感じさせてくれる一冊でした。
🧐『地雷グリコ』はどんな人におすすめ?
この本は、間違いなく「人を選ぶ」作品です。 私が「あなたの時間を大切にする」ためにも、正直に「おすすめな人」と「おすすめしない人」をお伝えします。
🟩こんな人におすすめです!
- 『ライアーゲーム』『カイジ』『嘘喰い』などの頭脳戦・ゲーム漫画が好きな人
- まさに「文章で読むライアーゲーム」。ロジックで相手をねじ伏せる快感が好きな人には、これ以上ないご馳走です。
 
 - ロジカルな謎解きや「してやられた!」という感覚が好きな人
- 本作は、読者への挑戦状でもあります。主人公と一緒に考え、そして最後に明かされる「解」に膝を打ちたい人に最適です。
 
 - 人が死ぬミステリに少し疲れている人
- 「誰も傷つかないミステリ(コージー・ミステリ)」とは違った、「誰も死なないが、頭脳はフル回転させる」新しい読書体験を求めている人におすすめします。
 
 
🟥こんな人はおすすめしません…
- 複雑なルール説明やロジックを追うのが苦手な人
- 本作の肝は「ルールの穴」を突くロジックです。そのため、ゲームの説明や思考の過程が詳細に描かれます。「難しい話はいいから、早く結果を教えて」と感じてしまう人には、苦痛かもしれません。
 
 - 登場人物への深い感情移入や、感動的な人間ドラマを最優先する人
- 青春小説の側面もありますが、主軸はあくまで「頭脳戦」です。キャラクターの心理描写よりも、ロジックの積み上げが中心です。
 
 - 『嘘喰い』などの既存作品と似ていると許せない人
- 口コミでも見られますが、特定の名作漫画へのリスペクト(あるいは影響)が色濃く感じられる部分があります。それを「パクリだ」と感じてしまうか、「最高に面白いエッセンスだ」と感じるかで、評価が真っ二つに分かれます。
 
 
📖書籍情報:目次、著者、詳細
あなたの本選びの「失敗」をなくすため、本の基本的な情報も整理しておきます。
目次(収録作品)
- 地雷グリコ
 - 坊主衰弱
 - 自由律ジャンケン
 - だるまさんがかぞえた
 - フォールーム・ポーカー
 (出典:KADOKAWA公式オンラインショップ)
本書は5つのゲーム(事件)が収録された連作短編集の形式をとっています。 「地雷グリコ」で心を掴まれ、「坊主衰弱」で加速し、「自由律ジャンケン」で脳が焼かれます。各章が独立しつつ、全体として大きな流れ(学園内のパワーバランス)が動いていく構成も見事です。
著者のプロフィール
青崎 有吾(あおさき ゆうご)
1991年神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。 2012年、『体育館の殺人』(東京創元社)で第22回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。同作は「平成生まれ初の鮎川哲也賞受賞作」として大きな話題となりました。
デビュー以来、緻密なロジックと魅力的なキャラクター造形で知られ、「ロジックの青崎」とも呼ばれています。 そして2023年に刊行された本作『地雷グリコ』で、第170回直木三十五賞候補、「このミステリーがすごい! 2025年版」国内編第1位、2025年「本格ミステリ・ベスト10」国内ランキング第1位など、数々の栄誉に輝いています。
まさに、現代ミステリ界を牽引する、今最も注目すべき作家の一人です。
本の詳細
- タイトル: 地雷グリコ
 - 著者: 青崎 有吾
 - 出版社: KADOKAWA
 - 発売日: 2023年11月27日
 - ページ数: 352ページ
 
🗣️世間のリアルな声(口コミ)
Amazonのレビューは誰もが見るので、ここではX(旧Twitter)や読書コミュニティから、より「生々しい」感想を集めてみました。
良い口コミ
「なにこれ、めちゃくちゃ面白い! まさに『文章で読むデスノート』。主人公の真兎が気だるげなのに、勝負になるとキレッキレになるギャップが最高!」
「5編全部、ルールが秀逸。特に『自由律ジャンケン』は、作者の頭の中どうなってるの?ってくらい緻密で、読後は爽快感しかなかった。」
「ミステリだけど誰も死なない。血が流れなくても、ここまでスリリングな物語が作れるのかと感動した。青春小説としても一級品。」
「普段まったく本を読まない友人に勧めたら、一晩で読み切って『次は何読めばいい?』って連絡がきた。布教に最適。」
悪い口コミ(賛否両論)
「正直、ロジックが難しすぎてついていけなかった。中盤から読むのがしんどくなってしまった。頭が良い人向けの本だと思う。」
「面白いのは認めるけど、『嘘喰い』とか『ライアーゲーム』の影響が強すぎないか? 既視感がすごくて、純粋に楽しめなかった。」
「騙し合いがメインだから仕方ないけど、登場人物がみんな性格悪い(笑) スカッとするけど、読後に温かい気持ちにはなれない。」
🏁まとめ:『地雷グリコ』はあなたの脳を試す挑戦状だ
さて、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
『地雷グリコ』とは、一体どんな本だったのか。 私が選んだ「グッときたところベスト3」を、もう一度振り返ってみましょう。
- 日常の遊び(グリコなど)が、特殊ルールで「究極の頭脳戦」に変貌するスリル。
 - 気だるい「省エネ主義」の主人公・真兎が、勝負で見せる「冷徹な論理」というギャップ。
 - 「誰も死なない」のに、命がけの勝負に匹敵する「ヒリヒリとした緊張感」。
 
これら3つをつなぎ合わせると、見えてくるものがあります。
それは、**「ルールとは、本質を理解した者だけが“利用”できる武器である」**という、強烈なメッセージです。
この本を読む前の私は、物事を「ルールだから」と漫然と受け入れていました。 しかし、この本を読んだ後、私は日常のあらゆる場面で「待てよ、このルールの“本質”は何だ? 抜け道は? 最適解は?」と考える「地雷グリコ脳」になってしまいました。
それは決して疲れることではなく、むしろ世界がより鮮明に、より「攻略甲斐のあるゲーム」に見えてくる、という刺激的な変化でした。
読むべきか、迷うあなたへ
もしあなたが、「頭脳戦」と聞いてワクワクし、「ロジック」と聞いて血が騒ぐタイプなら、迷う必要はありません。
『地雷グリコ』は、あなたのその知的好奇心を、これ以上ないほど満たしてくれる「失敗しない一冊」です。
この本は、読書ではありません。 これは、作者・青崎有吾と、主人公・射守矢真兎から叩きつけられた、究極の「頭脳ゲーム」への招待状です。
あなたも、この“地雷”を踏み抜く快感を、ぜひ体験してみてください。

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